人を使う(ぞうごの会40)
春節一週間前。仕事場、街中、スーパー、お休みモード満開の中国です。二月の第2土曜日は、丁度大晦日です。中止も考えたのですが、日本に帰国もせず暇している方々が大勢いると聞き無理矢理にでも開く事にしました^^
それでは、勉強会ダイジェストです。
「人を使う」 ・・・ 佐藤
職歴たった2年で仕事も管理も分からない人間が上海に赴任しました。それが、約10年前の私です。問題と対応と反省を繰り返し、毎日が嵐のごとく過ぎて行きました。中国で仕事をした方が書かれた書籍が色々出ています。そこに挙げられているトラブルの殆どを経験したと思います。人に関係するものには、特に悩まされました。自分の未熟さが原因のもの、???な事まで様々です。それでも大きすぎるトラブルを避けることが出来ました。大卒・大専卒の方々を相手にしていたからかもしれません。
今は作業者と一緒に仕事をしています。以前とは違った応対が必要で、頭が痛い毎日です。そんな環境下にいることもあり、「人を使う」ということを改めて考えてみたいと思います。
私の失敗談
まずは、個人的な失敗談からシェアさせて頂きました。大きく3つに分けられると思います。
1. 具体的指示が出せない
そもそも本社では、担当職であり、部下を持った事がない。仕事の指示を
出す時に、非常に曖昧な指示の出し方をしていました。最たるものが、目
的、方法、納期を伝えない。その上、フォローしない。
やって見せ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は育たぬ。
身に染みる言葉です。それが出来ないと、中国人部下のストレスが溜まっ
ていき問題2が誘発されます。
2. 直訴・離職談判・道連れ退職
ある日、本社から電話がかかってきます。「お前は何やってるんだいった
い!?」電話を取った私は、意味が分かりません。よくよく聞いてみると、
部下から本社に向かって直訴状が発信されていたらしい。訴える、チクル
と言うのは、結構日常茶飯事に発生します。管理能力がないと舐められて、
直ぐに直訴に発展します。これが大体は、給与挙げないと辞める、に繋が
ります。そして、交渉が決裂すると、仲の良い同僚を道連れに辞めていき
ます。今思えば当たり前の事ですが、以下の3つが欠けていたんですね。
- 管理能力のある人間が部署を受け持つ。
- 交渉が通用しない事を日頃から仕込んでおく。
- 部内の人間関係を常に把握しておく
3. 人材採用の失敗。
恐らくどの国でも人の採用は難しいでしょう。色々問題は起こりますが、
中でも人任せの採用は一番よく有りません。例えば、
- いつまで経っても人が回って来ない。
- 指示を聞かない。
- 辞めさせられない。
と言った問題が起きます。中国では、人は人に付いてきます。自分が採用
した人間以外は、自分の指示は及ばないと思っていた方が良いでしょう。
中国の科挙という制度も、ある時から中国皇帝との最終面接が取り入れら
れました。皇帝が採用したという過程が必要だったと思われます。
非常に悪い例ですが、
- 通訳を信じ過ぎ、優良人材を退職に追い込む。
- 上司の退職が切っ掛けで人員総入れ替え。
と言う自体も発生します。
出席者皆さんの失敗談(ディスカッション形式でシェアさせて頂きました。)
- 上海人を外地人の下に付けると働かない。
- 旧正月帰省後に何も言わずに帰って来ない。
- 資材・購買関係では不正に巻き込もうとする人が出る。
- 3年で組織が3回入れ替わる。
- ローカル系の担当は気をつけないと不正の温床。(購買)
- 仕事の結果が出ない場合の評価は、好き・嫌い。
- 裁判を怖がらず、訴訟問題に直ぐ発展する。
人を使うのは難しい!
では、日系企業を取り巻く現在の環境はどうなのでしょうか?
- 成長する中国 GDP上昇、賃金上昇
- プライド上昇(10年前より日系と言うブランドが無くなった。)
- 絶対的、相対的に下がる日本
- 国際関係
- 各種問題:日本人軟禁、労働争議、半日デモ
- ワーカークラスは人手不足
- 教育対象が、作業者、中間管理層、に加えて経営層が入って来た。
人を採用し使うのが難しくなる状況のなか、
中国人の人気就職先ランキングで、日系は50位以内に1社もない。
と言う状況があるようです。
なぜ、人気がないのか?は、お手数ですが、Googleで検索をかけてもらえませんでしょうか。例えば、“中国 人気就職先 日系”と言ったキーワードでも、かなりのレポートを見る事が出来ます。(別の機会をとって第2弾をやりたいですね。)
そんな中で、中国での人材活用に成功している会社もあります。ムックからの資料を頂いて、3社ほど紹介させて頂きました。その中から、特徴を以下に抜粋させて頂きます。
- セールスレディーの採用に一件〃〃家庭訪問をしている。
- 採用後は、座学や研修会等を一定期間も受けている。
- 教育・研修の手間を省かない。
- 会社イメージや企業理念を徹底的に教育。
- 日本人管理者も従業員と同じ食堂で食事を取る。
- 日本本社の生え抜き、トップを駐在させマンツーマン指導。
- 日本人駐在者のやる気を引き出すフォロー。
- 本社人事部が、中国人事に本気で取り組む。
サラリーマン・駐在員時代、一番苦労したのが、本社と中国の温度差です。温度は、いずれが高くても構いません。大きな溝、隔たりが存在します。日本流の人材活用は、残念ながら中国では通用しません。その理解から始まります。
以上、ダイジェストでした。
ぞうごの回では、人に関わるテーマを色々と挙げてきた履歴があります。今回の「人を使う」の他にも「良い組織は」「人材活用」 等〃。繰り返し学ぶ事で、少しづつ分かって来たことが増えて行っている気がします。勿論実践してこその学びですから、次回このテーマを挙げる時には、少しでも成功例を紹介出来ればと思います。
最後に、
今回の出席者が言っておられました。この「人」に関するテーマなど、色々な学びをシェア出来る機会は増やせないのか?確かにそうですね。中国に来る日系はある部分でラインバルですが、ある部分で仲間です。多くシェアし、多く役立てればいいですね。
あ!ぞうごの会の役割が、もう一つで来ました^^