ぞうごの会

ステップアップを目指す勉強会・懇親会@上海

#60 交渉力を磨こう!

 

 

出席者

勉強会     5名

上海文具愛好会 9名

 

「交渉力を磨こう!」

https://speakerdeck.com/zaowu/number-60-jiao-she-li-womo-kou

#60「交渉力を磨こう!」

 

 

 高校生の頃、遠出をして秋葉原までウォークマンをを買いに行きました。その頃の電気街は、値切って買うのが当たり前で、相当気合いを入れてお店に入ったのを覚えています。しかし結果は惨敗。店員さんの「これ以上下がらないんですよね〜」の一言に、殆ど値段が下げないまま買ってしまいました。それ以来、“交渉”事は大の苦手。上海に来てからも、お客さんとでさえ偽物市場で買い物をするのが好きじゃありません。なぜって、必ず高く買ってしまうから。「交渉力」を磨こうと思う所以です。

 
 
 
 そうは言っても、上海の仕事には、労働争議を筆頭に様々な場面で交渉にあります。いつまでの苦手では不味いと、様々な交渉についての本を読んできました。中々実践で使える事が書かれていないのですが、今回読んだ「ハーバード流交渉術」が、読みやすく分かりやすく、役に立ちそうだと思いました。この本を主題にぞうごの会を進める事にしました。(著者は上海在住の弁護士の方だそうです。)
 
 
 勉強会では、まず「交渉」の定義から始めました。交渉には2つの種類があるそうです。「ゼロ交渉」と「非ゼロ交渉」です。前者は交渉の結果得られる利益が有限と考え、片方の得はもう一方の損を意味します。「非ゼロ交渉」では、そのパイは無限だと考え、互いの得を探して交渉を纏めていこうと考えます。いわゆる「Win-Win」を目指す交渉です。
 
 最近の主流は、後者のウィンウィン交渉でしょうか。この考え方は、譲り合い精神を大事とする日本人には、「利益を分かち合いましょう」と聞こえるのではないでしょうか。しかし、その解釈だとしばし相反する場面に出くわします。例えば、中国人との交渉の中で「ウィンウィン」「パートナー」と言わる言葉が多用されます。その都度こちらは「お前が言うか!」とツッコミたくなります。私には、「俺に利益をよこせ」「俺は損はしないぞ」と聞こえてしまうからです。他にも、強い交渉で知られる、アマゾン創業者のジェフ・ペゾスは、「交渉は絶対に勝たねばならない」と言っていますし、アップルのスティーブジョブズの交渉メール等を見ると、まるで脅し文句のようにも読めます。
 
 「ウィンウィン」とは、一体なんでしょうか?少なくとも、譲り合いではありません。そして、交渉相手は何かを失うつもりで交渉に臨んでいないはずです。それは、交渉に臨むこちらも同じでしょう。お互いが「利益を獲得し」「損をしない」為に交渉に臨む。その結果として、お互いが「Win-Win」だったと握手出来る状態まで以て行く。「ウィンウィン」とは、交渉に臨む姿勢なのかも知れません。
 
 いやストレスフルな仕事ですね。
 
 
 さて、「交渉力」ですが、それをこなす胆力と技術力、生半可にものに出来るとも思えません。ですから、少しづつ学び、日々の業務のなかで身につけて行きたいと思います。今回の勉強会では、ハーバード流から7つの鍵を抜粋し学ぶ事にしました。
 
 交渉で一番大切なのは、”準備”と色々な本に書かれています。ハーバード流7つの鍵は、まさに交渉に臨む前に考えなくては行けない要素だそうです。
 
1.利益
2.選択肢
3.根拠
4.BATNA
5.関係
6.意思表示
7.合意
 
 この7つの鍵の効果、ケーススタディーを取り入れて体験してみました。
 
 ケース1:製造委託契約の取りまとめ(7つの鍵なし)
 ケース2:給与のベースアップ交渉(7つの鍵あり)
 
 以下のように、ケースを進めました。
 
1.出席者は5名。
2.2名チーム×2組をつくり、ロールププレイをしながら交渉を進める。
3.1名は、議事進行(私)。
4.各チームがお互いの立場や主張を別々に確認。
5.相手チームの交渉の条件や目的は確認出来ない。
6.交渉に入る前にチーム内の相談時間を儲けた。
7.交渉の制限時間は20分。
  ※本当の交渉で20分はありえないと思いますが、7つの鍵を体験する
   ケーススタディーとしては充分かと思います。
 
 
 これが結構盛り上がりました。出席者の皆さん、流石に上海で鍛えられた歴戦の勇者です。議論白熱、恐らくこれまでの経験(やった?やられた?)から、相手の痛いところを突いて来ます。特にケース2の「給与ベースアップ交渉」では、自分の会社だったらのどう判断するか(ノウハウ)と言う色が強く出ていたように感じました。
 
 2つのケース(激論)を終えて、その違いを比較してもらいました。
 
・「交渉前にチーム内で打合せをした際に、「鍵」が切っ掛けとなって纏めやすかった。」
・「その結果として、交渉自体を進めやすかった。」
 
 確かに7つの鍵に意味があることが感じられたようです。
 
 
 今回の反省点は、交渉の結論に重点を置かなかった為、20分の最後の方でお互いの主張が平行線を辿ってしまった事でしょう。次回は、もし結論に至らなかった場合(交渉破綻した場合)を予め決めておくのが良いかと思いました。例えば、最悪のケースを伝えておく事で、両チームにリスクを感じて貰うというのも有りですね。
 
 
 今回は、ここまで。
 

f:id:zaowu:20140525220516j:plain今回の本

 

『ふしぎとうまくいく交渉力のヒント』

[著者] 斉藤孝×射手矢好雄

[出版] 講談社

[発行] 2009年12月10日

[価格] 1500円(25元)

 
 
 
 
 
 
また、次回のぞうごの会で!