ぞうごの会

ステップアップを目指す勉強会・懇親会@上海

第33回 ぞうごの会 「原田語録207」

テーマ:『原田語録の項207翻訳と解釈』
発表者: 佐藤
出席者: 2名

 原田語録は、工場運営のケーススタディーを集めたものです。工場で日々発生する諸問題に、原田総経理がどのように対応したのかが綴られています。中国人秘書が、自分のメモとして残した為、原本は全て中国語。残念ながら日本人の我々が、読みこなしていくには、大きな時間が必要になります。

 以前から、和文版が欲しいと思っていました。工場運営や管理など、そうそう勉強出来る様な機会がありません。素晴らしい実績を出されている工場長と一緒に仕事が出来れば一番だと思います。しかし、海外では、大抵の場合に孤軍奮闘をよぎなくさせられます。そんな状況にあって、原田総経理の言葉、応対が残った、この原田語録には、非常に大きな魅力がありました。そう言った経緯で、翻訳勉強会を儲けることにしたのです。

 
 「原田語録」「原田総経理」と書いてきましたが、原田総経理のご紹介を忘れていました。これでは、話は先に進みませんね。「原田氏:原田則夫」とは、

 ◯ 工場再生屋として、華南地区で知らない人はいない工場再生屋です。
 ◯ 倒産寸前の工場をわずか2年で黒字化しています。
 ◯ 中国工場に「従業員が育つ仕組み」を作り上げました。
 ◯ 経営手腕は、日系ビジネスにも取り上げられたこともあります。

 もう少し具体的に尻隊からは、下のサイトを参考にして下さい。華南地区で品質コンサルタントをされている林徹彦さんが、自分のサイトで詳細に紹介しています。林さんは、原田式工場経営の自称第一弟子で、21世紀型工場経営を推奨しています。
 ・http://quality-mind.seesaa.net
 ・http://www.chinabusiness-headline.com/2010/08/9882/


 さて、勉強会ダイジェストに移りたいと思います。第一回目である今回は、今後どのように勉強・そして翻訳していくのかを話し合いました。
 
 勉強・翻訳会のポイント
 1.原田式経営についての基礎を勉強する。
 2.原田語録を持ってケーススタディーとし、そこから何が読めるかディスカッションする。
 3.1と2を踏まえた訳文を作成する。

 今回は、訳文のみを準備していましたので、2と3を踏まえて、ダイジェストとして紹介致します。
 ---以下(赤字は、原田語録を読みやすくするために補足になります)。



語録207: 会社財産の合理的手配
指導日時: 2009/09/08 9:30-10:10
指導場所: 研修室
指導対象者:警備員、受付、総務課長、総務係長、総経理秘書、人事部担当者(翻訳)
ポイント: 総務は会社の財産および環境に対しての理解を深め、合理的に配分し、
      無駄を避ける。
指導背景:
 総務課長が董事長室より電話を受ける。会議に使用するため、研修室の机2脚およびイス6脚をODM事務所へ移動する旨を総務課長に要求した。
 総務課長は内部警備員2名にトレーニング室の机およびイスの移動を要求した。
 総経理は現場を確認し、不快に思い、総務に対して指導を行った。

指導内容:
 総務課長は、総経理室の要求に対して、その通りに行っただけだった。本来、その要求に対しての分析および判断を行うべきだった。

 ここで問題にしているのは、総務課長が総務部の役割を理解せず、且つ安易に業務を進めたことにある。

 まず、部下への指示の仕方に問題があった。 

 工場には、会議室か幾つかあった。そして全ての会議室の装備は、全て同じ標準品で備え付けられていた。総務部の受付人員は、毎日会議室の机およびイス等の標準設備に対し点検作業を行っていた。課長がこのように勝手に移動させるという行為を行うことで、部下は自分の仕事意義がないと感じる。

 指示を出すべき相手は、標準装備を管理している、受付人員だったはずだ。部下の仕事を把握していないか、効率を無視して指示を出している可能性があった。

 次に、要求の詳細を確認することを怠った。

 また、なぜ必要な机およびイスは何人の会議で使用されるものなのか聞かなかったのか?聞く必要はないと思っていたのか?董事長室で必要とされる最適な机、イスを提供出来ることを伝え、詳細を確認する必要があったはずだ。
 
 この2点からは、董事長室の要求を鵜呑みに仕事をしたことが分かる。これでは、総務  および総務課長の能力が低いと言わざるを得ない。

 仕事を把握出来ていないことは、その他の状況を見ても分かるようだ。

 工場内には、今回使用された研修室の設備以外に利用でいるものがあった。常駐顧客専用の事務所があった。そこには使用されていない机、イスがあり、現在多く使われていない。更には、それらの資産は、多く、それらは会社内部へ再配置し使用可能だった。例えば、そこにある机、イスは、今回の会議で使用されるために移動させたものより最適なものであった。使われた研修室の机は、狭く、横に長すぎ、美観的に問題があるだけでなく、場所もとるものであった。

 総経理は、以前この事務所の視察を行い、その設備資産を把握していた。
 残念ながら総務課長は、視察に行ってはいなかった。

 工場内の資産状況、部下の仕事内容を把握出来ていなかったことが、今回の問題の原因になった。

 今ある資産を知るには、現場を見るのが一番である。

 総経理は、我々を伴い常駐事務所を視察した。結果、事務所内には、工場内で使用可能な資産が多くあることが分かった。ホワイトボード、ホワイトボード消し、イス、パソコン、小測定室、等々。総務は会社の資産の量を理解することで、合理的に配分することができる。

 これらの設備資産を管理する為の活動を行うのが良い。例えば、人事部は、朝巡回で工員の状態を確認している。総務は会社内の環境および資産を理解する行動をすべきである。これがポイントとなる。

指導感想(まとめ):
総務は会社の環境および財産、事務用品を管理することで、合理的に配分をおこなうことが可能になる。

原田語録207、以上。


 原田総経理、具体的な問題点を指摘し、何に対して問題なのかを説明し、かつ現場に連れて行き次のステップを見せています。絶え間なく、問題の発生する工場で、こういった地道な指導や教育を継続するのは、並大抵ではないと思います。実際問題として、私も出来るかぎり丁寧に応対しようとしましたが、役割説明が出来なかった、現場まで足を運べなかった、など反省点が多々あります。

 そんな事に考えていると、「継続は力なり」とおっしゃった中学時代の先生のことを思い出しました。では、また次回のダイジェストまで。