ぞうごの会

ステップアップを目指す勉強会・懇親会@上海

第30回ぞうごの会 「勉強会ダイジェスト:営業」

 常日頃“営業”というものに疑問を抱いて来ました。

 10年も営業畑で仕事をしてきたにも関わらず、それは大きくなるばかりです。この職業に付いたのは、大学を卒業して直ぐでした。業界は、エレクトロニクス。自社商品を主に日本大手電機メーカーへ販売するのが仕事になります。
 仕事はOJTで覚えました。最初の5、6回程度の外出は、上司や先輩が同行してくれました。以降は、社内にいると、怒鳴り声が飛んで来ます。だから、外に出て行きます。自分で顧客を探し、開拓して行く。既存顧客がない訳ではないが、売上げに直結する様な甘い話ではありません。よって、自分の身は自分で立てるということになります。
 初めての営業です。失敗もします。いや、言い換えた方がいいかもしれません。失敗ばかりします。売上げは上がりません。営業を始めたころなんて、皆そんなものじゃないでしょうか。

 だからこそ、色々な疑問が沸き始めました。
 私の場合は、「会社としてもう少し効率の良い営業方法はないだろうか?」でした。
 

 
 今回のテーマは、「営業について」と纏めた勉強会を開催致しました。今回集まって頂いたのは、実際に営業されている方や困っている方、暗中模索(?)の方等たちです。


出席者紹介
【発表者】
 久能さん:日本ブランド商品をTAOBAO(ネットショップ)で運営する会社をやっている。
      工場 生産品を直接消費者に販売するケースもある。
 鈴木さん:虹橋で広告の会社とウェブの会社2社を経営、その前はメディアの会社を経営しており、
      中国には合計で17年。
 藤丸さん:1年前に松江でメッキ会社を企業、一番厳しい時期は乗り越えたが、更なる売上げアップの手段を見つけたい。
 佐藤(私):フリーランス、製造業出身、今回の勉強会で営業の幅を広げたい。

【その他出席者】
 柴田さん:蘇州で製造業に携わっている。中国の大学を卒業し、14年中国。
 胡さん:蘇州で日系企業に勤め、営業部所属。入社後1月なので色々なことを勉強したい。
 金さん:胡さんと同じ、前職で営業業務はしていたが、営業はこれから。
 陸さん:胡さん、金さんと同じ会社に所属。設計技術を担当。



 さて、ここから下はダイジェストです。全てを記載すると、膨大な量になってしまいますので、ポイントだけ押さえさせて頂きました。



『どのように法人顧客を獲得したか』 ・・・久能さん

 久能さんが経営されている会社で、実際に使われているコンセプトや方法を紹介して頂きました。大きく3つの項目があります。(1)営業の計数管理、(2)待ちの営業、(3)実際にやったこと。私自身も、この3つを導入しての営業を試みたことがあります。ただ、久能さんの話を聞いていますと、自分は徹底出来ていなかったと、反省させられてしまいました(- - ;)


1. 『営業の計数管理:訪問件数に対する受注率を計算で出す営業管理手法』

 (ア) 営業活動を管理しようとするとき、売上げだけでは、難しいところがあります。そこを、活動内容を数値化し
    管理する事で、効果を上げる管理が出来るようになります。

 (イ) 例えば、メールを1ポイント、電話を2ポイント、訪問を3ポイントと決めると実際の動きが見えるようにな
り、見えるようになる事で活動量が増える効果もあります。

 (ウ) 例えば、何十人いる営業マンの“訪問件数”から“受注確立”や“売上げ”を計算しておく事で、今期に必要な“営業
活動計画=訪問回数”の目標を立てやすくなったりします。


2.『待ちの営業:ダイレクトレスポンスマーケティング(DRM)』

 (ア) 通常の営業スタイルは、アポ電話 ⇒ 訪問 ⇒ 成約(積極)となる。

    が!

 (イ) 『待ちの営業』では、情報提供 ⇒ 問い合わせ ⇒ 商談 ⇒ 成約となる。

  
   ☆☆☆ポイント☆☆☆

   情報を先に出して、興味のある人に売り込みを行うところにある。
  

3.『実際にやっている事(プロセス)』

 (ア) ステップ1.様々な媒体(ホームページやアリババ)に”情報”を載せる。
   
   まず、一目に付く事が大切!!!

   1. SEO対策(web検索で成るべく上に出てくる技術)
   2. 有料広告(クリック広告)


 『受けの営業』にとっては、ここが最初の関門です。けれど、実は現場の営業担当が、HP作りに関わっている事って多くはないのではないでしょうか。お客様が望む情報を、掲載しておけば、アクセスが上がるのみならず、営業マンの手間が省けます。


 (イ) ステップ2.見込み顧客が興味を持ちそうな無料資料を提供する。

   1)一工夫した物が良い。(日系の工場管理手法、等)
   2)無料セミナー開催し、専門性をアピール。
   3)「何がお客さんの興味を持つのか分かれば、儲かる仕組みに一歩近づくと言う事。

 (ウ) ステップ3.その情報提供の対価としてメルアドを貰う。
 
   1)このメルアドは、既に自社商品やサービスに興味がある顧客のものである。

 (エ) メールマガジン送付
 
   1)メルアドは、
     1.いつかは買ってくれる顧客のものである。
     2.繰り返し買ってくれる顧客のものである。
      ア)継続して配信する事で、成約に繋げて行く。
      イ)メールマガジン発行のノウハウ
        1. 会社の実績や知識、実例、商品使用例などを記載することで信頼性を上げる。
        2. 話し言葉で軽い感じで書く。(メルマガを読む読者を想像して書く事が大切。)
        3. 自分(発行者)のキャラクターを伝える。
        4.それを定期的に送っていると親しみが湧く、を演出。
        5. きっちりと仕事をしているよ、信頼度を醸成。
      3.利点:コストがかからない!

 
 最後のメルマガのノウハウが、私にとっては、一番役に立ちました。このプロセス自体は、色々な営業の本やDRMに掲載されています。しかし、実際に使ってみるとなると、結局は試行錯誤になります。実際送っている人の話は、、、ためになります。


 さて、次にお話し頂いたのは鈴木さんになります。久能さんの話と一部重複するところがありますので、その部分は割愛させて頂きました。



『ウェブの活用方法』 ・・・鈴木さん

 鈴木さんからのポイントは、『待ちの営業』の要である『最初の引付け』です。HPなど、お客様が最初に発見した、自社情報の提供の仕方についてご紹介頂いています。

1. ウェブを使うことについて

 アリババやHPなどのウェブサービスでは、その上で販売までを提供していたりします。しかし、鈴木さんは、このサービスは敢えて使用せず、、、

 (ア) 目的は、“問合せを貰う”こと。
    1)販売は考えない。
    2)問合せを頂き、見込み顧客を作る。
    3)コンタクト収集ツール

    と考えるのが大切だと説きます。

 (イ) サービスの色々の利用
    1)ホームページ、アリババ、タオバオ、weibo、ブログ等
    2)目的は、広範囲の顧客にアピールすることです。


    “網を広げておく”

    と言う感覚が大切です。

 さて、営業には、色々仕事があります。集客、販売、顧客化、アフターサービス、等等。上げれば切りがありません。しかし、その中でも、非常に難しいとされているものがあります。それが、集客です。
 集客には、大きな作業が付きものです。お客様への販売アプローチや、クレーム処理、などと同時進行するには、業務負担が非常に重くなってしまいます。しかし、集客しなければ、新しいお客様の開拓は進みません。
 ですから、その部分をHP 等に任せてしまうのは、一つの方法なのです。


2. 営業マンとしてのHP

 (ア) HPには非常に有能な営業マン何人かの集客パワーがある。

 (イ) かつ、多言語展開が出来る。
    1)中国語版、日本語版、英語版、韓国語版、ドイツ語版の作成
    2)中国国内へ進出している外資企業が対象
    3)実際にはローカルスタッフ同士の交流になることが多いため、問題は少ない。
 
 そんなウェブやホームページも使い方が大切です。


3. HP使う際のノウハウ

 (ア) アップし続ける!
 (イ) HPが生きていることを主張しつづける!
 (ウ) 大風呂敷でもいいから、主張する!
 (エ) ありものでもいいから、バンバン進めていく。


 全てが格好良く纏まっている必要はない!ようです。例えば、参考として、同じ製品写真が何枚も掲載されたページを見せて頂きました。全て同じ写真なのですが、ページに空白が少なく、埋まっていると言うだけで、非常に魅力的なページに見えました。特にアリババ等は、対した情報が乗っていないページが多い為、写真だけでも埋まっていれば、問合せをする動機になるのでしょう。


 “問合せを貰う”という事に集中した場合、そんな工夫でも良いのだと言う事が分かりました。


 問合せを貰ったら、どう受注に繋げるのでしょう。久能さんのお話では、『受けの営業』の場合、お客様が来社してくれるようになるとの事でした。実際、自分から訪問した事はないようです。もちろん、必要に応じてお客様にダイレクトに訪問するのは、間違っていません。
 その他にも展示会、セミナー等のリアル活動への参加を促す等、実際の活動とWebとをミックスさせて行く事で、最大の効果を上げて行くことが出来ます。


 さて、ここまで纏めてきましたが、『受けの営業』はメーカーの営業で使えるのでしょうか。実は、使えるのです。最後にメッキ会社の藤丸さんのところで実際に行ったケーススタディーをご紹介します。
 

『ファックスDMのケーススタディー』・・・藤丸、佐藤

 ウェブの代わりに、ファックスを使用しました。ファックスを送り、後は顧客からの反応を待つという姿勢です。約3ヶ月活動した結果が以下のようになります。

  (1)ファックス送信件数: 2000件
  (2)ファックス着件数: 1300件
  (3)問合せ件数: 116件
  (4)反応率: 約9%
  (5)成約率: 約35%
  (6)反応の特徴 問合せがあった後、工場に来社された。
   日系: 反応時間が遅い
    →4月頭に送ったファックスに対して5月末に問合せがあるなど。
   中国系:反応時間が早い
    →当日か翌日には問合せがある。
  (7)売上結果: 6月末の3月末時点比:4倍

 
  上に出て来た『営業の計数管理』を意識して数字を纏めました。


 営業は、外に出てなんぼだと言われます。言われ続けています。しかし、上に見られるように、効率的に営業をと考えたとき、上の様な手段を積極的に検討するのも良いのではないでしょうか。


 勿論、外に出ての営業も大切です。ある製造業の方から、こんなメールを頂きました。この方がおっしゃられたことは、私にとって、とても腑に落ちた言葉でした。大切にしなくては行けないと感じています。


“小生は製造畑で10年以上業務を培って、たくさんの営業の方とお会いしいろんな趣旨でお話をさせていただきました。

 小生の立場からお話させていただきますと営業での顧客獲得と言うよりもどのような営業の方に興味が沸くか。または、どのような方が来られると困るのか。っと言ったものでしょうか。 当然、扱う製品についても興味を抱くものとそうでないものがありますが、うまい営業さんは試作に持ち込んで結果的に継続的なお付き合いをしている方もいらっしゃいます。

 営業の方も製造の方も個性は十人十色ですよね。 いろんな方が集り切磋琢磨し営業クオリティーの向上を検討していただけますと、製造側の人間としては非常に有り難い話です。”