第25回ぞうごの会ダイジェスト 後編
トピック二つ目は、中国政府の出している「5カ年計画」を中心でした。講師の柴田さんからの大きな質問があり、出席者皆さんで思わずうなずいてしまいました。それは、
「5カ年計画は、自分の人生設計に関わりませんか?」
中国でビジネス、そして生活をする私たちに取って、直接影響を及ぼす5カ年計画。その割には、あまり気にした事がなく、ましてやその内容を吟味したり、それによってビジネス・生活の今後を考えるなんてこともしていません。
ある意味、日本で決められた消費税率アップよりも影響が大きいと言えます。
さて、その5カ年計画についてですが、色々なところから情報が出ています。シンクタンク、日本大使館、銀行、などです。それらの情報に敏感になることが必要というのが柴田さんが教えてくれた事。
5カ年計画=「政府は、今後こうしたいですという計画/希望」
1.内陸の経済成長
中国の経済成長は、いま約7%前後のところにあります。しかし、その内訳を見ると、内陸部の成長率(10~11%)が、沿岸部(4%)を牽引しての数値だと分かります。
それならば、内陸へというのが直ぐにならないのが、、、
・内陸はインフラ整備されていない。
・客先に合わせてではないと、輸送費ばかりがかかる。
・今は安い人件費も、今後の賃金上昇や、その他のコスト上昇では
合わない。
となっており、例えばアメリカの企業の3割が撤退(アンケートでは8割が戻りたい。)、日系でも生産効率重視で一部日本で再度生産を始めています。
2.世界の工場から世界のマーケットへの転換
・沿海部では、商業地区周辺の工業地区から追い出されています。
内陸部でも同じ様なことが怒っているようです。
・工場の土地が値上がり、商業地化が進んでいます。
製造業の設備投資よりもサービス業の中国投資が増えて来ているのも事実です。また、上海で仕事をしていると、以前なら回りは皆製造業だったのですが、いまはサービス業などに携わる方々が本当に多くなりました。
製造業としての過渡期が来ているということなのでしょう。
大きく、その流れを押しているのが、
3.所得倍増計画
毎年の賃金上昇で、10年前の管理職の給与額が、今の工員の給与なんてことになっています。
ことしも、
賃金改定
・4月1日 上海市 1460元 +五金 (3000弱?)
・6月1日 江苏省 1340元(手取り:会社負担だと最低2000〜2500元以上)
この金額は、あくまでも最低賃金の為、たとえば残業代、福利厚生(上記基本給+食住)、引き抜き額のアップなど、今後も中国の人材市場は売り手市場が続くでしょう。
若年労働者人口(16歳〜34歳:2015年から減少傾向)が確定していることも、賃金上昇を後押ししていますね。
日系どうしが、工員を取り合うなんて現象も普通に見られます。大手は比較的、好条件を出せますが、中小企業はやはり厳しいのが現実です。
なんだか、グチっぽくなってしまいましたが、これが現実であって、状況は増々加速していくと思われます。
製造業は、中国でモノを作る事に慣れましたが、しかし今までの製造業では利益としては出てこなくなっています。工場としては、高付加価値製品の製造がポイントに成って来ているのです。
それが課題!
ただ、「日本品質が良いと思っているのは日本人だけ」という意見も出たように、本当に求められるモノの生産が必要なわけです。
工場として製品を含めての利益モデル。
ヤフーや楽天は失敗。
ユニクロは成功。
日系はブランド戦略が大切。
他には?
人生に関わる大転機が中国に来ています。
〜出席者の言葉〜
“本日の最大のまなびは?”
・製造業の方の現実をかいま見れたので参考になりました。(K.J.さん)
・5カ年計画で、今後の自分の方向性をもう一度考えたい。それに対して、どう学んで行くか?どう行動を起こすか?(中北さん)
・外資系製造業が自国に戻っている事実。(曾さん)
・中国人−日本人のおつきあいは、個人−個人を中心に考えるが、政府の考え方をしって置いた方が良いのではないか?(N.S.さん)